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犬と川遊び 危険箇所編
- 2015/7/10
- いぬてれび Ch, コラム, 知りたがりおばちゃん「あさひさん」のつぶやき
【プロフィール】
名前:菅原 一成 研究員
公益財団法人河川財団
河川財団 子どもの水辺サポートセンター 研究員
RAC(川に学ぶ体験活動協議会)トレーナー
レスキュー3 SRT-1
★あさひさんの質問★
川の危険な場所ってどんなとこ?
★せんせいのこたえ★
川で「楽しく安全に」遊ぶ為には川の危険箇所を知る事がとても重要です。
犬が水に入りたがっているからといって、周囲を確認せずに川に入れるのはとても危険です。
ひとえに川と言っても上流から下流まで様々な危険箇所があります。
愛犬を以下にあげる危険箇所に近づけないよう心がけましょう。
■リードについて(いぬてれび調べ)
リードの使用については、興奮して遠くに行ってしまった犬を引き寄せたり、流されるのを防止するには有効です。
泳ぎ疲れて体力が消耗したり、思わぬ川の流れの強さに流される事故が発生しています。
(※リードは水に浮く素材のものがよいと考えます。水に沈むと障害物にリードがトラップされる危険があります)
(※詳しくは「フットエントラップメント」で解説します)
★せんせいの解説★
【川の危険箇所】★上流編
① 上流の雨
今いる場所が晴れていても、上流や流域の局地的豪雨で、一気に水が増水し、水位が上昇する事があります。急に濁りが出たり、枝や落ち葉が流れてきたら直ちに川から出ること。
② 川底に岩などの障害物が多く流れが速い瀬
流れの中で立とうとしたて、岩の隙間に足をはさまれる可能性がある。
(※水中までもぐって石を取ろうとする犬は顔などを挟まれないよう注意が必要! いぬてれびより)
③ 浮き石
うっかり乗るとバランスを崩して落水することがある。
④ 流れが大きな岩や壁にぶつかるところ
水面下の岩がえぐれている(アンダーカット)ことがある。
そこでは下に引き込む流れが発生し、引き込まれると危険。
渦の中には流されてきた木の枝、ごみ、釣り針などもあり危険な場所。
⑤ V字に波が経っている場所
岩や床止めの鉄筋の先端などが、流れすれすれに隠れている。避けてあげましょう。
⑥ 中州
川の水が増水すると水没する可能性があり。退路を断たれてしまうので注意。
⑦ 水面が沸き上がっている流れ
強い流れが川底の岩にぶつかり沸き上がった流れ。大きなものは渦もたっている。
【川の危険箇所】★中流編
⑧ 穏やかな流れ
一見穏やかに見える流れも、川底の影響で流水は一定ではない。
川の事故の90%はこの穏やかな流れで発生している。
⑨ 水制・橋脚・床止め等の人工構造物
(★ 危険な人工構造物で解説します)
⑩ 反転流
岩などを回り込んだ場所やワンドでは反転流が発生している。
本流にくらべて流れはゆっくりではあるが、いずれ本流に戻るので注意
⑪ 川に流れ込んだ木
流されて水中にある流木などに捕捉されると、体全体で水圧を受けて動けなくなってしまい、脱出できなくなる。
⑫ 釣り針・糸
どんな場所にもある可能性があり、刺さってしまうとカエシがあるため簡単には抜けない。
糸が体にからみついて水中に拘束される危険性もある。
⑬ 川の合流
2つの流れが合わさり複雑な波や流れが起こるので注意。
【川の危険箇所】★中流〜下流編
⑭ 堰堤(えんてい)
堤の直流下では、上流方向な強力な反転する流れが発生し、写真のように横断して設置されている場合は、この中に捕捉されると脱出が非常に困難になる。
(※「リサーキュレーション」で詳しく解説)
⑮ まっすぐで深さがあり障害物が少ない流れ
水が岸から中央に向かって流れ、岸に向かって泳いでも戻されてしまう(ヘリカルフロー)。
特に直線的なコンクリートの護岸で水量が多いと発生しやすい。
⑯ 川底のゴミ
濁った川は川底に何があるのかわからないので危険です。
⑰ 河口付近
潮の満ち引きの影響を受ける。いつのまにか川の中央にとりのこされてしまうことも。
また沖に向かう塩の流れは強く、沖に流されてしまう危険性が高い。
【★危険な人工構造物★】
《水制》
川の曲がっている外側には、堤防等の浸食、洗掘を防ぐためコンクリートブロック等が設置され、この周辺や内部では複雑な流れが発生し、隙間にはさまれたり吸い込まれると脱出できなくなる。
《取水口》
農業用水等の取水口付近は流れが早く、吸い込まれやすく、入り口の柵に張り付けられ脱出できなくなる。
また取水口の先は暗渠(外から見えなくなっている水路)になる場合もあります。
【★流れの中での危険★】
《フットエントラップメント》
歩けるような水深の流れの中では、川底の石の間等に足がはさまれると、水圧で水中に体が押し込まれ、水面に顔を出したり脱出する事が非常に難しくなります。これと似た現象で、リードやロープなどの長いものが川底の石などにはさまり、強力な動水圧を受けると水圧で水中に体が押し込まれ、たとえライジャケットを着けていても水面に顔を出すことができず、水の中に補足されてしまいます。
そのため、ロープなどは水に浮く素材のものが求められます。
リード、ロングリードを使用している場合は注意しましょう。
《リサーキュレーション》
川を横断するように設置されている堰堤(えんてい)の直流下では、越流した流れが図のように上流側に反転する流れとなり、ここに捕捉されると脱出が非常に難しくなります。
堰堤の近くには絶対に近づけないでください。
《ボディエントラップメント》
流れの中では、水中の流木などの隙間にはさまると、全身に水圧を受け脱出が非常に難しくなります。
漂流物がある場所では遊ばせないでください。
《ホワイトウォーター》
白く泡立った流れ(ホワイトウォーター)の中では浮力が小さくなり、水面に顔を出す事が難しくなります。
※出典:「水辺の安全ハンドブック」公益財団法人 河川財団